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   冷えた水が、火照った全身を優しく撫でている。

   確かに、気持ちが良かった。


  ジャグジーの泡の中へつかりながら、宍戸はため息を吐いた。その時に、自分の股間が

   少しだけ膨らんでいるのを感じて、宍戸は、唖然としていた。


   たった、これだけで感じてしまったのだ。


  (最低だな。俺は。)

   宍戸は、本当に恥ずかしくてたまらなかった。


   だから、次の鳳の言葉に困ってしまったのだった。


   「宍戸さん、こちらに来てください。ジャグジーも気持ち良いですけど、俺は、宍戸さんと

   一緒に泳ぎたいです。」


   そんな鳳に対して、宍戸は、自分の身体の有様では、とても一緒には泳げないような

    気がする。もう少し、時間が経つまで、このままジャグジーに入っていたかった。


   「う〜ん。俺は、水泳は苦手なんだよな。」

   そんなふうに、やんわりと断ろうとする宍戸に、鳳は驚いた顔をした。


   「へえ、初耳ですね。宍戸さん、運動神経抜群ですから、スポーツは、どれも得意だと

   思っていましたよ。」


   宍戸は、立ってしまった股間を気にして、ジャグジーから出たくなかったのだが。


   しかし、鳳に言った内容も嘘では無かった。


   確かに、身体を動かす事は、大好きだったが、水泳は、本当に苦手にしていた。


   泳げるのだが、まっすぐに進まない。そのせいで、タイムはあまり良く無いし、疲労するので、

   長時間、泳ぐ事はできなかった。
鳳に、そう説明すると、笑顔でこんな返事が返ってきた。

  「ああ、それは、利き腕ばかりが発達しているからですよ。テニスプレーヤーなら、別に

   不思議な事ではありません。いつもラケットを握って利き腕を酷使しているから、筋肉の

   バランスが良く無いんですよ。」


   鳳の話では、子供の頃からテニスをしている事が原因らしい。これには、直す方法も

   ちゃんとあるらしいのだ。


   「逆の腕を鍛えれば治りますよ。例えば、登校の時には、いつも利き腕以外で荷物を持つ……

   なんて事で十分ですよ。
 宍戸さん、上手な泳ぎ方を俺が教えますよ。ちょっとしたコツを掴めば、

   コースで曲がる事はなくなりますから。だから、こちらに来てください。」


   鳳の申し出は、とても嬉しかったが、宍戸は、まだジャグジーから離れられそうに無かった。


   股間は、今だに大きいままだったからだ。


   「え〜と。それに、そのプールの深さだと……。俺は、足が届かないと思うんだよな。」

   「ああ、そうですね。このプールは、かなり深いです。でも、俺が、ずっと宍戸さんを

   支えますよ。だから、溺れるような事はありませんから、安心してください。」


   宍戸のそんな必死で考えた言い訳も、鳳によって、軽く返されてしまった。


   それ以上、断り続ける事もおかしな話なので、宍戸は、覚悟を決めると、ジャグジーを離れ、

   足早に鳳の入っているプールへやってきた。鳳に、自分の下半身が見えないように、

    注意しながら水の中へと飛び込んだ。


   このまま、水中にいれば、バレずにすむように思えたからだ。


   宍戸が、足の届かないプールで立ち泳ぎをしていると、鳳が笑顔で近づいてきた。


   先ほどの説明通り、宍戸の肩をそっと支えて、プールの中心地点まで連れていった。

   鳳の太い腕で支えられて、宍戸の小柄な身体は、水の中でも安定していた。


   確かに、鳳と一緒なら、苦手な水泳も楽しめそうに思った。


   しかし、宍戸が安心したのも、つかの間の事で、次の鳳の行動には、度肝を抜く事となった。


   宍戸は、水の中で、自分の股間に触れている鳳の手の動きに気がついてしまった。


  「うわっ! 長太郎ッ! 」

   思わず、そう叫ぶと、鳳は、宍戸に笑顔を向けた。


  「やっぱり、勃起していますね、宍戸さん。さっきから恥ずかしそうにしているから、

   そうじゃ無いかと思っていました。俺に隠し事なんて、無理ですよ。」


   そう言って、鳳は、左手の指先で、宍戸の膨らみの形を確認するように撫でた。


   「これじゃあ、水泳の練習は無理ですね。最初に、こちらの問題を片付けましょう。」

   鳳は、手の平で、宍戸のモノを掴むと、ゆっくりと揉み始めた。



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